2016年に3.3兆円で買収されたARM社。この記事ではARM社がどのような製品を作っているか?ARMの事業戦略、今後の展望について紹介していきたいと思います。
ARM社概要
ARMって何に使われてるの?
ARMの歴史は1990年に設立され、 エイコーン・コンピュータ、アップルコンピュータ、VLSIテクノロジーの合同設立企業(JV)として起業されました。
半導体の微細化技術の進歩とともに、スマートフォンを中心として、さまざまな分野で使用されています。
具体的にはスマートフォンを例にあげるとはWi-Fiやカメラ、GPSやBluetoothなどのモジュールなど各種モジュールに使用されており、携帯が持つ機能進化とともに搭載数が莫大に増加しています。
ARM社のビジネスモデルと収益性
ARMは自社でプロセッサを生産する起業ではなく、ARM社設計の半導体チップをパートナー半導体起業にライセンス供与します。ライセンス供与された半導体起業はARM設計をもとにチップを開発し、取引先OEMへ出荷します。
ここで、半導体起業からはライセンス料を、実際に製造されたチップからはチップごとのロイヤリティーを受け取ります。
これがARMのビジネスモデルとなります。
ARMの今後の展望としては拡大するIoT市場や自動車部門でのシェアを伸ばし、AI時代のベースプラットフォーマーを目指しています。
10年後はおおむね2倍の市場規模を目指している状況ですが、近年の電動車の状況を見ると、より早い段階で市場規模には到達しそうな気がします。現在は車の開発期間は5年で品質を作り込みますが、28年頃にはそういった開発手法が時代に合わなくなる可能性があり、中国を中心とした新規車メーカーの台等によりメーカーの存在のあり方を問われるように考えます。
ARM社の推移
さて、実際の出荷台数の伸びに対し、ARMの収益はどのようなものでしょうか?
2008年と比較し、売上高(市場規模)は概ね3倍となっていますが、かかる費用はそれ以上のペースで伸びています。これは、高度人材の雇用が高騰していることが要因のひとつとされています。17年・18年はチップのモデルチェンジに関わる投資を行ったということで、ピークの15年800億円のころと比較して、最終損益は200億円ほどとなっています。3.3兆円の回収には相当な時間を要するものと考えることもできます。
幸い、1400億ドルのキャッシュがあり、借金はないことから債務超過におちいることはなさそうです。
また、2018年には中国での合併会社ARM chinaが誕生しました。中国製SoCでは95%がARM製プロセッサ技術を使用しており、米中貿易摩擦がありながらも成長しつづける中国市場での存在感を高めていくことでしょう。
現在、非上場ですが、ARMが再上場した際に市場価値がどのようなものとなるか。
個人的には非常に楽しみです。