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米国に学ぶライドシェア発展の歴史

5G、自動運転技術に先駆けてカーシェア含むシェアサービスや配送のアウトソーシングが始まっています。配車サービス提供会社は世界で300社ほど存在します。

日本にジョブズは何故生まれないのか?という質問で日本下げをする方はいますが、Uber、Lyftなど配車サービスはどのような背景から生まれているのか。今回は米国の近代史を背景に説明したいと思います。

米国のライドシェア事情

米国では旅行に使われることが多く、通勤には10%程度となっています。また、通勤に利用されるライドシェアは住宅保有者よりも集合住宅在住者が圧倒的に多くなっています。ライドシェア発展までの背景には米国での歴史を紐解く必要があります。

70年にバス・電車などの相乗りから個人運転の普及

70年代を堺に単独運転者が増えています。富の増加、ガソリン価格の低下、労働者の教育向上によると経済学者は分析していました。従来のライドシェアに値するバス、電車などの移動手段は他人が介入することから、好まれなかったという分析もあります。

70年代は社会問題として、自治体イベントにアメリカ人参加率が低くなっているというデータもあります(In “Bowling Alone: America's declining social capital,” Robert Putnam 1995

2000年代初頭 ガソリン価格の上昇による車保有の見直し

2003年以降、ガソリン価格の上昇に加え、カリフォルニア州を中心として、動産価格が上昇し、住宅の保有コストもあわせて上昇していくなかで、都市交通学が見直されていきます。

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単独運転者の減少

2005年には平日の54%が通勤時間に当てられるという日本では考えられない事態となっています。社会インフラが整わないなかで、通勤負担をへらす工夫が必要となってきます。

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通勤をシェアする人は倍増、公共機関を使用する人は微増

ここまでが米国におけるライドシェアの背景となります(出典:Stephen DeLoach and Thomas Tiemann. Not driving alone: Commuting in the Twenty-first century. Elon University Department of Economics. 2010.)

通勤時間をシェアするカープーリングの推奨

多くの企業や地方自治体は、相乗りを促進するプログラムを導入し始めます。2人以上のカープーリング利用者のみが利用できる専用レーン(HOVレーン)の導入やイニシアティブの導入です。世界的なCO2削減目標を背景に米国ではカーシェア文化を利用しようとする企業が生まれてきます。日本では白タクが道路運送法に触れることから一部特区を除いて私用車配車は禁止されていますが、米国では特段問題なかったことも影響のひとつでしょう。

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HOVレーン

スマホの誕生と影響

2000年代も終盤に差し掛かったところで、スマートフォンが世界的に普及します。GPSとインターネットを世界に広めたことで、カーシェアの世界も影響を受けていきます。

ジョン・ジマーとローガングリーンコーネル大学とカリフォルニア大学サンタバーバラ校は、それぞれLyftの前身であるZimrideと呼ばれるカープーリングシステムを開発しました。初期のプーリングは長距離旅行を中心とした相乗りシステムです。第一世代では共通の目的地、あるいは共通の出発地が必要でした。

長距離プーリングを受けヨーロッパでは、ドイツのMitfahrgelegenheit(carpooling.com)と、2015年に前者を買収したフランスのBlaBlaCarがヒットします。2015年初頭これらのオンラインプラットフォームは、ヨーロッパおよびその他の国で、それぞれ600~1,000万人のユーザーを獲得しました。

これらのプラットフォームの第2世代は、旅行者のスマートフォンを使用して、都会の旅行をリアルタイムで管理するように設計されています。乗り物を予約し、途中下車も含めたルート全体をAIが分析して乗客を集め配車します。

システムが旅費分配を自動的に実行し、各乗客は、乗客の移動距離とシェアした人数により、車両ドライバーの払い戻しします。

ライドシェアの社会問題

高額な維持費用

ライドシェアリング会社はほとんどの管轄区域で規制されており、いくつかの管轄区域では禁止されています。規制には、ドライバーの身元調査、運賃、ドライバーの数、免許、最低賃金の要件があります。

空港タクシー運転手は、必要な商業許可と保険に年間3,000ドル以上を費やしています。

タクシー会社との確執

タクシー業界はライドシェア会社が旅客輸送や規制を無視した違法タクシー事業としています。米国ではライドシェアリング会社に追加の規制が課せられ、一部の管轄区域では、特定のライドシェアリング会社の運営が禁止されています。

ニューヨーク市では、ライドシェア会社の利用により、タクシーの価値が低下しています。タクシー会社は不況を余儀なくされ、経営破たん危機に追い込まれた銀行や事業者もあります。

個人事業主としての扱い

問題点としては、最低賃金を下回る給料・事故時の補償などがあります。

雇用法の下で「従業員」とみなされる権利と救済を受ける権利があると主張するドライバーによって提起され、最低賃金・残業などを含めた従業員としてみなすという判決が出ています

法的規制や特別対応の問題

特定のタクシーでは利用されている車椅子対応や携帯電話が必須となることから運転中の携帯電話操作、渋滞を引き起こしている、などライドシェアならではの問題点もあります。

法律面では現代のテクノロジー進化のスピード感に対応できていないことが2010年代は特に多く思えます。企業として利用できるか(社内規定の問題)、個人では事業主として対応できるか?(副業問題)など日本で運用するにはいささかの課題を感じます。

7兆円規模の市場があると言われているライドシェアですが、市場の大きさから日本が遅れている、と捉えるのでは無く必要に応じて発展してきました。社会課題解決に必要なことを事業化することで市場価値は生まれるものと考えます。

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