歴史

ビジネスで見るインドの現状と問題点

ビジネスに見るインド

2019年現在、13億人で世界2位の人口を誇るインド。

14億で世界1位の中国に比べ日本企業のビジネス進出は芳しくありません。今回はインドという国をビジネス上の観点から中国と比較して考察していきたいと思います。

人口推移と今後

まずは中国の人口推移から。世界1位の中国は一人っ子政策の影響で2025年から日本並みの超高齢化社会に突入します。

日本のように老人が多く、若者が少ないと言ういびつな社会構造

男女比が著しく違うこと(女子は戸籍の無い状態となっていたこと)

といった一人っ子政策ならではの現象が起こっています。

また、年金制度が比較的充実している都市部と比べ労働者人口の大半を占める非都市部は若者が老人を介護する必要があり出稼ぎにくることが難しくなってきます。

現在でも中国では出稼ぎ労働者が春節で帰省後戻ってこなくなり工場の操業が難しくなりいます。世界の工場としての地位低下は今後更に加速していくこととなります。

一方でインドを比較して見ましょう。

下図は人口統計データとなります。2000年代前半までは中国とインドは同様に人口が伸びていました。一人っ子政策など無縁なインドは今後も増加傾向にあり、毎年2500万人の人口増加しており2027年には中国を抜き世界1位になる、と見込まれています。

では何故資本が集まらないのか?これはインドのカースト制度が大きく影響しています。

カースト制度とは?

インドといえば?といった質問では上位に来るのではないでしょうか?

しかし、実態と経済に与える影響については深く知られていないと思います。

ヴァルナ(種性)・ジャーティー(出自)から成る身分制度でヴァルナは4つ(バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラ)の権力の枠組みを表し、ジャーティーは世襲制の職を表します。またその他不可触民と言われる日本で言う部落の強化レベルの層があります。他階級の人が見る、聞くなどを禁止されています。

ヴァルナは男性は下位カーストとも結婚が可能、女性は下位カーストとの結婚は認められていません。ジャーティーは同一ジャーティーのみ結婚が許されます。

また、他ジャーティーとは同一の食事が許されておらず、村社会で発見された場合、リンチ殺人などが行われたりします。

経済に影響を与える部分とはジャーティーに関わる部分となります。

古くは専門的職業としてムラを構築してきた被支配層のジャーティーですが、工業の発達により転職を余儀なくされます。4,000以上に渡る職業集団を構築していますが、当然新しい職業、失くなった職業も存在します。

新しい職種に関してはジャーティーの縛りが無く、新規参入が許されます。

インドにIT企業が多いのはこのためです。

ジャーティーが共同体として力を持ったことで当然集団同士は対立し異なる言語を使用するようになりました。

当然800を超える莫大な数の言語が生まれました。英語、ヒンドゥー語を公用語としていますが、多数の言語が生まれれば意思疎通に難がでます。

現在のインドでは憲法でカーストによる差別は禁止されています。しかし村落レベルでは伝統的な差別が残っている状態です。現在でも下位カーストに関する犯罪が年4万件近く発生しています。

インドの税制

ジャーティーによる対立を背景にインドでは州ごとに物品税が異なる、物資移動の際に税金がかかる、といった他の国は見られないような税制となりました。

2017年に統一税制としてGST(間接税の統合)が行われました。

州により異なる税制は変更され、食料品などの生活必需品5%~車などの高級品28%と税率が設定されるようになりました。

しかし、法人負担の税率は60%と先進諸国と比べ高く未だ企業参入の障壁となっています。また、州をまたぐ物品移動の手続きは減免されたものの物品税そのものは廃止されておらず、州外の在庫移動にも税金がかかる状態は維持されています。

インドの電力事情

国際的な試算では2040年には世界電力の25%をインドが消費する試算となっています。

爆発的な経済成長の裏で、インドでは25%にあたる人が電力の無い生活を送っています。発電所の増設数と比較して送電網が貧弱なためです。地域格差もあり、電力効率も8割を切る状況のため、北部では毎日60分の停電が発生します。これでは製造業が進出できるはずもありません。一般的に見れば0.1msの瞬停ですら数千万の被害を出します。

インドが抱える大きな問題点について、簡単にまとめてみました。

問題の裏にはビジネスのチャンスがあるとも言えます。少なくともGDPは今後数倍に膨れ上がることでしょう。

日本は電力にかけてはかなり優秀です。年間の停電もほぼないと言っていいでしょう。しかし、途上国は文字通り我々と住む世界が違うといえますが、日本が得てきた知見を途上国に活かせれば、と思います。

インドの発展を応援致します。

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